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耳血腫の外科的治療法


浅香山
動物病院

 

  

慢性外耳炎や耳疥癬などの激しい痒みに反応して頭部を振りすぎたり、後足で掻きすぎたりして耳血腫が発生する。血液は通常耳介の内側に貯留する。



外側に貯留した症例はいまだ見ていない。血腫の腫脹部位を注射針で穿刺吸引して、あとは内科療法に期待するのは姑息的すぎると著者は考えている。文献的には免疫が関与していると言われており、もう片方の耳にもやがて血腫が発生することがよくある。 手術法 痒みの原因が耳道内にあるのだから手術中の血液や術後の漿液が耳道内に流入しない術式が用いられるべきである。

1 耳介の外側を血腫の最大横径でメスで切皮し、同一部位の耳介軟骨も切る。


2 付着したフィブリン塊を徹底的に除去する。


3 最後に生食水で充分に洗浄する。


4 外側から全層を貫いて鋼線で細かく縫合する。方向は切皮線と平行にして血行障害を防ぐ。 縫合時に耳介が歪まないようにその結紮の強度を調節しながらおこなうと変形が少なく美容形成上良好な結果が得られる。





5 抗生物質は数日使用する。慢性の外耳炎では予め感受性テストを実施しておくとよい。

6 抜糸は10日以上経過して充分治癒してから行う。

本法の利点 術中に血液が耳道内に流入しない。術後も漿液が耳道内に流入せず耳道内が乾燥しやすい。


 

 

 

   


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