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犬の甲状腺機能低下症



浅香山
動物病院

 

犬の甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症は、体の代謝を活発にする役割をもつ甲状腺ホルモンの分泌量が減少することで起こる病気です。
発症すると、元気がなくなる、体重が増える(肥満傾向)、毛が抜ける、皮膚が黒ずむなどの様々な症状が起こります。

症状
・活動的でなく、ぼんやりとし、顔つきが悲しげになる。

・活動が鈍り、散歩をいやがったりと元気がなくなる。

・寒がる。

・体重の増加や肥満。

・皮膚の変化。毛が抜ける(かゆみのない左右対称性の治りにくい脱毛)、色素沈着、毛艶が悪い、皮膚の乾燥など。

・脈拍が弱まる。心拍数が下がる。

・貧血、血液中のコレステロール値が上昇。。。

・てんかん発作。

・平衡感覚障害(頭を傾けたり、ふらふら歩くなど)。

・末梢神経の浮腫によって発生する、麻痺症状(顔面神経、喉頭、食道、足など)。

・行動の変化(むら気になる、理由なき攻撃性・不安感の増加)。

甲状腺機能低下症になると、皮膚に色々な症状が見られるほかに、全般的に元気が少なくなる、寒がりになる、体重が増える(肥満傾向)といった症状が現れます。後半の症状は、犬が年をとったせいかな、と思われがちで、飼い主に病気と気づかれないことが多いようです。
皮膚の症状としては、毛が薄くなったり、抜けたり(脱毛)、皮膚が乾燥してフケが多くなったり、黒ずんだり厚くなったり(色素沈着と皮膚の肥厚)、感染を繰り返して起こしたり、といったことが認められます。また、全体的に犬の顔が哀しそうに見えてくることもあります。この他、心拍数が遅くなったり、発情が止まったりといった症状が見られることもあります。重篤になると、昏睡に陥ったり、意識障害を起こしたりする場合もあります。
犬種ではフガン・ハウンド、アイリッシュ・セッター、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、イングリッシュ・ブルドッグ、コッカーー・スパニエル、エアデール・テリア、シェットランド・シープドッグ、ボクサー、チャウチャウ、プードル、ダックスフンドなどの中・大型犬に多く見られ、小型犬ではあまり見られません。
この病気が中年齢以降に発生しやすいことで、「年のせい」でかたずけられることも多く、症状が多様になるため見逃されやすい病気です。

原因 
  免疫介在性甲状腺炎などによって引き起こされる

甲状腺機能低下症は、おもに免疫介在性のリンパ球性甲状腺炎と、特発性甲状腺萎縮によって引き起こされます。この病気の一部には、遺伝的要因の関与が考えられていますが、明らかではありません。また、クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)などの他の病気が甲状腺ホルモンのはたらきを阻害し、同様の症状を引き起こすことがあります。

治療 
  甲状腺ホルモンを投与する

甲状腺ホルモンを測定して低下症であれば、甲状腺ホルモン製剤の投与をおこないます。甲状腺機能低下症になると、他の病気が原因で起こるものを除いては、生涯にわたって治療を続けなくてはいけません。

予防
  早期発見・早期治療を心がけることが重要


鼻の頭の脱毛は甲状腺機能低下症を示唆する所見。この犬も甲状腺機能低下症であった。

 

 

   


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