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産卵過多・卵秘の獣医学



浅香山
動物病院

 

産卵過多・卵秘の獣医学

産卵過多の定義
  繁殖季節や適当な繁殖相手のいないのにもかかわらず通常のクラッチサイズの以上の産卵をしたり、クラッチサイズで産卵を繰り返すこと。 *1回の産卵期の産卵数

病因
1.手乗りのとりではすり込み現象で飼い主を発情対象にしてしまう。
2.併発疾患の存在 産卵過多によって栄養貯蓄が減少するほか、さらに次の疾患を引き起こす。
  ・卵秘
  ・骨粗鬆症
  ・栄養失調
  ・体重現象
  ・自慰による総排泄口孔付近の羽毛の抜け落ち、皮膚炎さらに潰瘍と出血。

治療
・行動療法をとる場合には変化は緩やかにすること。
1.発情対象が一人あるいは二人の飼い主に向けられている場合には、鳥が産卵をとめるまで鳥との接触を次第に少なくしていく。
2.自慰行為あるいはディスプレイを助長するもの(鏡・好みのおもちゃ等)は取り除くこと。
3.産んだ卵は取り除くこと。
4.今までとは違う部屋で飼うこと。
5.巣箱は取り除く
6.部屋に出さない。狭い隙間に入り込ませない
7.ケージの敷き紙を引きださせない。
8.他人の家に数ヶ月間鳥を預ける。
・光の照射を1日8時間までに制限する:短日性の環境下では産卵しにくい。朝9時にカバーを取って、夕方5時には暗くする。明るい時間帯の8時間についてもできるだけ暗い部屋にケージを置く

・栄養状態の改善
1.健康な食生活。ヒトの食事を与えない。変に加工してある餌は避ける。
2.摂取カロリーの増加
3.適切な蛋白質の摂取
4.ビタミン・ミネラルの補給

・ホルモン療法、排卵抑制時は肥満に陥らないように餌の質と量の管理が重要。
1.HCG 500-1000IU/kg,im 1,3,7,14,21daysその後は2-4週毎に
  この療法は性的な病因で毛引き症を起こしているときも有効。
2.Leuprolide acetate(Lupron,TAP Phamaceutical)
  GnRH の叙放型の薬物で、約100μg/kg/日x産卵を抑制したい日数
  オカメインコでは2800μg/kgを1回投与すると最低28日間排卵を阻止できる。
  100gのオカメインコでは280μg/頭、1880μg/vial→6,7回分。
3.Testosteron(普通は使わない)
4.Medroxyprogesteron(現在は推薦されていない)
5.クロールマジノンアセテート
  持続性黄体ホルモンをシリコン柱にしみこませた薬剤で、年余に渡って黄体ホルモンを放出して排卵を抑制することが期待できる。


   


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